新宿の東南口と呼ばれるエリアの、甲州街道の陸橋に沿った雑居ビルエリアに「たつ屋」という牛丼屋がある。
かつては都内で複数店舗を運営されていたらしいが、今はここにしかない。
リンク: たつ屋 新宿店 – 新宿三丁目/牛丼 [食べログ]
カウンターのみで、広くはない店内。特別きれいというわけではないが、丸亀製麺の新宿3丁目店とか、新宿西口の楽釜製麺所なんかよりはずっといい。そんな店内で、いかにもベテランといった雰囲気の男性が、2人体制でお客の注文をこなしている。
たつ屋の牛丼にはしっかり肉がのっていて、しかも味のしみた豆腐が入っている。私は「ご飯に豆腐って合うよね」という考えの持ち主だから、これはうれしい。
この日は、うどんとのセットにした。このうどんが、意外と言っては失礼だが、そのへんのチェーンのうどん屋よりうまい。関東のつゆに抵抗がなければ、ぜひ試してほしい。
入れ替わり立ち替わり客が入ってきて、注文をして、黙ってどんぶり飯を喰う。店のおじさんはなじみの客がくれば軽く声をかけつつ、手際よく調理をし、一瞬手が空けば付けっ放しのテレビから流れるニュースに対して、一言つぶやく。
「ごちそうさま」
カウンターの上にお代を置く。
牛丼、350円。牛丼とうどんのセット、590円。
最後に、フォトグラファー・善本喜一郎氏のブログに掲載されていた80年代の新宿東南口、つまりたつ屋があるあたりの風景がわかる記事を紹介しておく。
リンク: 80年代の新宿 | 写真家という仕事・写真のチカラ
リンク: ボニータ(1980年代の懐かしい新宿) | 写真家という仕事・写真のチカラ
たつ屋は、なんとなく、昔のこのエリアの雰囲気を(いいかたちで)今に伝えているような気がする。
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。クロスバイクと小田急ロマンスカーが好き。