新幹線なのにスローな旅「ぷらっとこだま」で行こう

東京から大阪まで公共交通機関で移動する。その選択肢として多くの人が思い浮かべるのは、新幹線「のぞみ」か、航空機でしょう。最近はLCCの成田〜関空便を使う人も多いのではないでしょうか。しかしここであえて、東海道新幹線を利用した旅行商品「ぷらっとこだま」を推してみたいと思います。

ぷらっとこだまとは

「ぷらっとこだま」とは、東海道新幹線・こだま号をリーズナブルに利用できる旅行商品です。JR東海の旅行会社「JR東海ツアーズ」や旅行代理店で「旅行日の前日まで」購入できます。

情報源: ぷらっとこだま|JR東海ツアーズ

インターネットでの購入:1ヶ月前(前月の同じ日)の11時から出発5日前まで
電話での購入:設定された販売期間で、出発2日前(来店受け取りの場合 ※支店休業日を除く)まで
来店購入:設定された販売期間で、出発前日まで

設定された販売期間=2018年4月末現在、2018年9月30日出発分まで予約可能

多くな特徴としては正規料金よりリーズナブルなことが挙げられますが、乗車できる列車、乗降できる駅が少し限られていること、旅行商品であるため、他の新幹線列車に乗車できないといった制約もあります。



ぷらっとこだまの料金

東京・品川発のプランの場合、料金は下記のようになっています。

・普通車プラン

静岡まで 通常期おとな:4,700円 繁忙期おとな:5,600円 こども:3,200円
浜松まで 通常期おとな:6,600円 繁忙期おとな:7,700円 こども:4,200円
名古屋まで 通常期おとな:8,300円 繁忙期おとな:9,500円 こども:5,500円
京都まで 通常期おとな:10,300円 繁忙期おとな:11,600円 こども:7,000円
新大阪まで 通常期おとな:10,500円 繁忙期おとな:12,000円 こども:7,200円

参考:東京〜新大阪間における通常の新幹線・普通車指定席・おとな料金
のぞみ号普通車指定 通常期おとな:14,450円 繁忙期おとな:14,650円
ひかり号・こだま号普通車指定 通常期おとな:14,140円 繁忙期おとな:14,340円

・グリーン車プラン

静岡まで 通常期おとな:6,700円 繁忙期おとな:6,900円 こども:4,600円
浜松まで  通常期おとな:8,600円 繁忙期おとな:8,800円 こども:6,300円
名古屋まで 通常期おとな:9,300円 繁忙期おとな:10,500円 こども:7,300円
京都まで 通常期おとな:11,800円 繁忙期おとな:13,100円 こども:9,400円
新大阪まで 通常期おとな:12,000円 繁忙期おとな:13,500円 こども:9,400円

参考:東京〜新大阪間における通常の新幹線・グリーン車(指定)・おとな料金
のぞみ号グリーン車 通常期おとな:19,230円 繁忙期おとな:19,230円
ひかり号・こだま号グリーン車 通常期おとな:18,920円 繁忙期おとな:18,920円

※グリーン車の料金に通常期/繁忙期の違いはありません

ぷらっとこだまの所要時間

「こだま」は新幹線の各駅停車。途中で「のぞみ」に何度も抜かれるので、ちょっと時間がかかります。

「のぞみ」の所要時間:
東京→名古屋 1時間41分
東京→新大阪 2時間33分

「こだま」の所要時間:
東京→名古屋 2時間49分
東京→新大阪 3時間54分

この差は、さすがに小さくはありませんね。

ぷらっとこだまの注意点

「ぷらっとこだま」は乗車券・特急券ではなく「旅行商品」です。切符ではなくパッケージツアーなんですね。したがって、乗り遅れないようにしてください。他の列車には乗車できません。途中乗車・途中下車もできません。また、乗車駅と降車駅が限られています。例えば小田原駅は利用できません。プランニングの際には注意しましょう。

付け加えると、「こだま」は車内販売がありませんので、お弁当などは事前に買っておきましょう。

※「こだま」の乗車駅に接続するJR線が15分以上遅延して乗り遅れた場合、15分以上で記入されている「遅延証明書」と「すべてのクーポン券類」を送付(送料自己負担)することで払い戻しが受けられます。

詳細は、「ぷらっとこだま」のWebサイトでどうぞ。

情報源: ぷらっとこだま|JR東海ツアーズ

ぷらっとこだまのメリット

・安い

最大のメリットは「安い」こと。言うまでもありませんね。グリーン車だととくに恩恵を受けられます。

・ワンドリンクサービスがある

駅構内のキオスク等でワンドリンクサービスが受けられるのも、ちょっとしたことですがうれしいです。

・まとまった時間が取れる

そして「のぞみほど速くはないが、そのぶん適度にまとまった時間がとれる」のも、実はポイントです。本を読んで、考えごとをして、寝て……と、存分に楽しむ?ことができます。

・そこまで遅くない

また、こだま号が遅いと言っても、そこはさすがに新幹線。例えば、東京西部や神奈川に住んでいる人が電車やバスを利用して、やや時間に余裕を見て羽田空港や成田空港に行き、伊丹行きや関空行きの便に乗って、到着空港からさらに移動して梅田に出る……なんてことをやっていると、実はこだま号と大差なくなってしまう場合もあるのです。

・空席があれば前日まで購入できる

「ぷらっとこだま」は、JR東海ツアーズや取り扱い旅行会社に出向く場合は、空席さえあれば乗車前日まで購入できます。30日前に買っても、前日に買っても旅行代金は同じです。柔軟性はありませんが、シンプルでわかりやすい価格設定と言えます。

ぷらっとこだまで新横浜から新大阪まで行ってみた

2018年4月23日、実際に「ぷらっとこだま」を利用して新横浜から新大阪まで行ってみました。

前日、町田駅前のJTBで「ぷらっとこだま」を手配してもらいました。グリーン車の通路側しか空いていませんでしたが、新横浜から新大阪まで、11,900円でグリーン車に乗れるのですから、まったく問題ありません。JTBでいろいろ渡されましたが、実際に使うのは「ドリンク引換券」と「乗車票」の2枚。「乗車票」を新幹線改札の有人通路で見せて、新幹線ホームへ向かいます。

JR東海ツアーズのクーポン券が利用できるキオスク・売店には中央のステッカーが貼られています。

クーポンでお茶をもらいました。

今回利用する、こだま637号が入線。

いそいそとグリーン車に乗り込みます。

この落ち着いたインテリアが、いいんですよね。普通車は2列+3列のシート配置ですが、グリーン車は2列+2列で、ゆったりしています。

新大阪まで3時間半を過ごすことを考えると、個人的にはグリーン車の一択。

中央の肘掛けにコンセントが設けられているので、ノートパソコンを開いて仕事の企画を考えるなどして過ごしていました。

2時間と40分が過ぎ、ふと顔を上げるとまだ岐阜羽島でした。さすがに時間はかかりますね。もちろん、在来線や高速バスよりはずっと速いですけど。

でも、さらに原稿を書き進めるなどしているうちに3時間半が過ぎ、定刻どおり11:50に新大阪へ。この後地下鉄に乗り換えれば、20分後には梅田に、30分後には難波に着きます。

この日は難波のホテルに宿泊し、翌日はスピード重視でふつうに「のぞみ」に乗って帰宅しました。

おわりに

「ぷらっとこだま」の安さ、そしてパッケージツアーゆえの融通の効かなさは、ある意味「LCCの航空券」みたいだとも言えるでしょう。しかし、この値段でグリーン車を利用し、快適に移動できるのは魅力です。旅行会社等なら乗車前日まで購入できる点も、忘れてはなりません。

また、東海道新幹線では「のぞみ」が当たり前になった今、あえて「こだま」に乗ることで「新幹線なのにスローな旅」が体験できるのも、なかなか面白いところです。スローと言っても、高速バスはもちろん、空港までの所要時間次第では航空機よりも速いので、移動の選択肢として十分現実的です。

今回は東京〜新大阪間をメインに書きましたが、静岡や浜松、名古屋といった東海エリアのアクセスにも、便利でしょう。

ぜひ検討してみてください。

情報源: ぷらっとこだま|JR東海ツアーズ