自転車に「ユニクロや無印良品のような」を求めるとしたら — 2019おすすめクロスバイク考

ユニクロに行けばさまざまな服がリーズナブルな価格で売られていて、好き嫌いはともかくとして、悪くないものばかり。無印良品に行けば落ち着いた雰囲気の服や雑貨にあふれていて品質も良いし、カレーやバウムクーヘンだっていける。サイゼリヤは何を食べても結構おいしいし、ドトールやベローチェのコーヒーでもそれなりにゆったりとした時間を過ごすことはできる。

ふと思った。自転車の世界で、ユニクロや無印良品、サイゼリヤやドトールやベローチェのような存在のものはあるだろうか……と。

上に挙げた企業が世に送り出す商品の魅力を価格に見出し、それを自転車に当てはめるとしたら、量販系自転車店のプライベートブランドや、通販主体で販売される安価な自転車が思い浮かぶかもしれない。そんな自転車の中にも確かにキラリと光るものはあるが、多くの場合、ユニクロや無印良品と肩を並べられるかというと、ちょっと違うように思う。20,000円以下で売られているシティサイクル、30,000円以下のクロスバイク、50,000円以下のロードバイクやマウンテンバイク(MTB)——確かに価格は安いが「価格と質のバランス」を考えると遠く及ばないのではないか。

ちなみに、無印良品は自社ブランドの自転車を販売しているが、かつては安さもウリだったそれらの自転車も、今やシティサイクルタイプで25,000円以上、クロスバイクタイプなら50,000円前後する。

「高級ではないが、まっとうなシティサイクル」は、どれくらいの価格だろうか。

photo_ミヤタサイクル

ミヤタの「Quartz XL(クオーツ エクセルライト)」は、この類のシティサイクルとしては軽量であり「いい自転車」だ。26インチの3段変速モデルで54,800円(税別)する。

photo_ブリヂストンサイクル

通学車の定番モデルであるブリヂストンの「Albelt(アルベルト)」は丈夫なフレームやベルトドライブが特徴だが、L型26インチの5段変速モデルは66,800円(税込)だ。

クオーツ エクセルライトもアルベルトも高級車ではないが、しかし安くもない。ドトールの220円のコーヒーではなく、街の昔からある喫茶店で600円のコーヒーを飲むイメージだ。

photo_ブリヂストンサイクル

同じブリヂストンでも、20インチのかわいらしい「VEGAS(ベガス)」は、アルベルトと比較すると装備が簡略化されている。例えば、アルベルトにはリアのカギをかけるとハンドルもロックされる機構があるが、ベガスは後輪のカギのみだ。変速段数も3段か変速なしのシングルギアだが、どうせ急な坂は降りて押すという人であれば問題ない。そんなベガスは、シングルギアモデルが35,800円(税別)。

このへんでようやく、ユニクロや無印良品、サイゼリヤやドトールやベローチェのようだと言えるのではないか。



photo_ブリヂストンサイクル

クロスバイクで言えば、こちらもブリヂストンの製品だが「CYLVA F24(シルヴァF24)」がそのラインか。際立った個性はないが、シティサイクルよりは速く、軽やかに、そして適度にスポーティーな気分で走ることができる。価格は52,800円(税込)だ。

photo_ジャイアント

GIANT(ジャイアント)の「ESCAPE R3(エスケープR3)」は、実に軽やかで爽快なクロスバイクだ。細かいところを見るとコストダウンを図っているのがわかるが、全体的な使い心地としてはそれを感じさせない。ユニクロに例えると「AIRism(エアリズム)」のよう。52,000円(税込)という価格もすばらしい。

なおジャイアントは、女性向けにはLiv(リブ)という別ブランドを立てていて、そちらで「ESCAPE R3 W(エスケープR3 W)」というモデルも発売している。

photo_ライトウェイプロダクツジャパン

RITEWAY(ライトウェイ)の「SHEPHERD CITY(シェファード シティ)」は日本人の体格を研究し、、時間にして約30分程度、距離10kmぐらいまでのライディングを想定して作られたクロスバイク。部品も品質の良いものでまとめられており、57,800円(税別)という価格も十分納得感が得られると思う。無印でちょっといいテーブルや椅子(無印の中ではちょっと高いやつ)を買うイメージか。

2018年の、世間一般の感覚で言えば、ベガスもシルヴァもエスケープもシェファードも「ちょっと高い」となるだろう。はっきり言って「ワンランク上」の自転車だ。しかし個人的には、これらの自転車でようやく「ユニクロや無印良品、サイゼリヤやドトールやベローチェのような」と言うことが許されるのではないかと考えている。

それくらい、巷には「ただの安物」があふれているというわけなのだ。

関連記事: おすすめクロスバイク2018-2019年版:ワンランク上の自転車がある毎日を楽しむ – CyclingEX

[2020/12/7 追記]

この記事は公開から時間が経ち、少し情報が古くなった。自転車は、毎年のようにモデルチェンジやカラーチェンジが行われる。2021年モデルのクロスバイクなどで「ユニクロや無印良品、サイゼリヤやドトールやベローチェのような」と言えそうなものを、下記リンク先で紹介している(もう少し高めのものも、あり)。

関連記事: おすすめクロスバイク2021年モデル版:通勤や通学にぴったりな1台を選ぼう! – CyclingEX