輪行でサイクリングの幅を広げよう

自転車を列車に載せて移動することを「輪行(りんこう)」という。

もちろん、日本ではほとんどの鉄道で自転車をそのまま列車に持ち込むことはできない。自転車分解して、専用の袋に収納する必要がある。それこそが「輪行」だ。

「分解する」と聞くと、たいへんそうに思うかもしれない。しかし、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車は、比較的容易に分解できる。

そのために必要となるグッズも、スポーツ自転車の専門店で入手可能だ。

分解すると言っても、前輪と後輪を外すことができればOK。パンク修理の際にも前後輪を外すので(スポーツ自転車の場合は基本的にチューブごと交換する)、この作業は覚えておいて損はない。

外したホイールをストラップでホイールに固定して、袋に収納すれば「輪行」できる状態となる。



さて、ある日私は、神奈川県内の「引地川」という小さな川に沿ってクロスバイクを走らせた。沿って……といっても川沿いに道がないところで迷ったり、あまりスムーズではなかったのだけれど。

まあまあ地味な川なのだが、とにかく川沿いに進めば、チラリとあいつが見えてくる。

引地川の河口は江ノ島の目の前、鵠沼海岸なのだ。

江ノ島へ向かう川沿いの道といえば境川が有名だが、たまには違うルートを通ってみたくなり、あえて引地川沿いを進んだのだった。

夕方に江ノ島へと着くように向かったが、見事に曇りで夕焼けを見ることはできず、とりあえず島へと渡った。

そして飲食店に入って、こらえきれずハイボールを飲む。

サイクリングの後のハイボールは、やっぱりうまいよ。

そして、少しは海沿いっぽいものをと思い、マグロカツ丼を食べた。正直なところ観光地の食べ物にあまり期待はしないのだが、これはマグロカツの食感や出汁の味がなかなかよかった。

さて、ハイボールを飲んでしまったわけだが。

もちろんそれは、想定内のことだった。どうせ暗い時間になってしまうし、輪行で帰るつもりだったから。

小田急線の片瀬江ノ島駅まで、自転車を押して歩いて向かった。

輪行袋にクロスバイクを収納して、片瀬江ノ島始発の各駅停車で、のんびりと帰る。うん、ばっちり!

輪行なら、帰りが暗くなっても心配は少ない。最寄駅から自宅まで徒歩圏内なら(もしくは家族が車で迎えに来てくれるなら)、サイクリングに出かけた先でお酒を飲んでも、輪行で帰れば大丈夫。

早起きして輪行でちょっと遠い街や観光地まででかけ、サイクリングを楽しんで、そしてまた輪行で帰ってきても構わない。

輪行をマスターすれば、サイクリングの自由度が高くなるというわけだ。

ただし飲む場合は、輪行の手順を忘れない程度に。

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